網戸のはなし

網戸の歴史 其の参

網戸修理

一茶の句に登場する紙帳というもの

網戸においては、前のページで述べたような蚊帳のように、その記録を記した書物の類はほとんどと言ってよいほどありません。このような理由から、これから述べる意見は全て推測に基づくものではあるのですが、平安時代の絵巻物に描かれているように、日本の建築様式においては縁側を挟んで仕切るものはなく、家の外と中に現在のようなはっきりとした境界がない作りでした。もちろん部屋と部屋の間も帳のような間仕切りがあるくらいのものであったので、網戸が使われる必然性はなかったものだと考えられます。では、蚊帳はどうやって網戸へと変化を遂げていったのか。実はあの有名な江戸時代の俳諧師である小林一茶の俳句には、そのヒントとなるものが登場しています。その句とは、<月さすや 紙の蚊帳でも おれが家>、そして<留守中も 釣り放したる 紙帳かな>といったものです。「紙帳」とは「しちょう」と読み、もんでほぐした和紙を張り合わせて作った紙の蚊帳のことです。30センチ四方ほどの窓(穴)がその壁面に空けてあり、そこに蚊帳の切れ端である網が縫って取り付けられていたようです。まさにこの、「窓枠に網を貼り付ける」という使い方は、現在の網戸の原型と言えると思います。<網戸の歴史 其の四へ

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